Logicool G604を(たぶん)日本一わかりやすく分解する

まえがき                      

 マエストロのメスガキ、まえがき「もっと力強く♡」

タイトルの通りです。やっていきましょう。

そこのあなた、そのドライバーを置いて、記事を最後まで読んでください。 分解工程を最後まで頭に入れておくのが非常に重要です。広告ないから。

 

なお難易度はそんなに高くはありませんが、マウスとかラジオとかの電子製品バラすの初めてという人にはちと難しいです。

そういう人は百均で目覚まし時計ひとつ買ってきてバラして練習しておきましょう。

ネジをナメる(強く締めすぎてネジ穴のプラスチックを潰してしまい、ネジが無限に回る状態になる)感覚も掴んでおくといいです。

転売相場2万円のマウスが110円の時計で救われると考えれば安いものです。



裏蓋を開ける                    

特に変哲のないG604ですね。

電池フタ、電池、USBドングルは抜いておいてください。

裏返し、周囲の「く」の字型ソールを4枚全部剥がします。光センサ周囲のO字型のやつは剥がさなくていいです。

剥がしたソールは大切に保管しておきましょう。

ソールは接着剤じゃなくて両面テープみたいなやつでくっついてるだけなので綺麗に剥がれますし、なんなら粘着能力が残るためそのまま貼り直すことだって可能です。

小さなマイナスドライバーをソールと筐体の間に刺し込む感じにすると剥がしの取っ掛かりが作りやすいです。

剥がしたらその下にネジ穴が隠れています。

赤丸がついている合計5個所のネジを抜きます。

G604には5種類くらいのネジが使われており、これは本数のわりには少ないんですが、うっかりすると混ざります(1敗)。

めんどくさくても外すたびに写真を撮っておくのがオススメです。

外したら裏蓋がフリーになります。

マウス後部からゆっくり開けます。

この際、2本のケーブルが繋がっているため、開けるのは大きくても2cmくらいに留めておいてください。

赤丸のあたりに爪があり、本体と裏蓋が繋がっています。

軽く裏蓋を左右にひねるようにすると外れます。焦らず時間をかけ、外れるまでグニグニしましょう。

裏蓋が本体から完全に分離したら、次はケーブルです。

赤黒の線が繋がっている電池ボックスのコネクタは、白いコネクタの上1mmくらいを掴んで基盤に対して垂直に引っ張ると抜けます。

それなりに力がいりますが、この際絶対にケーブルを引っ張ってはいけません。コネクタからピンが引き抜け、ケーブルだけが取れてしまいます。

不安な場合はペンチやピンセットでコネクタを掴むといいでしょう。

次、リボンケーブル。

これは力がいらなくて、コネクタについている肌色のタブを90度上へ跳ね上げるとロックが外れます。

端のあたりにドライバーを軽く刺し込むのもいいでしょう。

ただしケーブルにドライバーを当てないでください。リボンケーブルは簡単に断線します。

こんなふうに跳ね上がったら後はケーブルを引き抜くだけです。まったく抵抗がなくスルッとコネクタから出てくるはずです。

組み立てる時は逆の手順ですね(コネクタにケーブルを奥まで刺し込み、タブを下ろす)。

これで裏蓋が本体から完全に分離しました。 


ケースを外す                    

黄丸3本のネジを抜いて電池ボックスを外します。

マウス前方、赤丸4本のネジも抜きます。電池ボックスだけ外した写真を撮り忘れたんですよ。

さらにマウス後方、赤丸4本のネジを抜きます。

これでマウス本体がケースから完全に分離しました。

この次が一番コツがいる工程で、本体をケースから引っこ抜きます。

画像のあたりに親指で力をかけ、1mmほど内部構造全体が動くことを確認します。

ビクともしない場合はここまでの全部のネジ(特にマウス前方4本、後方4本の8本)を抜いたか、本当に正しいネジを抜いたか3回確認してください。

よく似た位置に関係ないネジがいっぱいあります。

内部構造が動くようなら思い切って力をかけ続けます。

バキッといいますが破損ではないはずです。たぶん。

マウスの中身がケースの左右ボタンがある穴からずるりと出てきます。

ずるり。

こんな感じになります。

せっかくなので動画も貼っておきます。

難所は抜けたので一息つきましょう。



本体を分解する                   

本体を裏返して、先端にある赤丸1本のネジを抜きます。

組立の時に忘れやすいポイントなので注意しましょう(2敗)。

表側に戻し、赤丸6個所のネジを抜きます。

そうしたらマウス左右ボタンが外せますが、ちょっとコツがいります。

まずはボタンモジュール後端に爪を入れ、矢印の通りに上へと持ち上げます。

ボタンと本体が赤線で分割されます。

これくらい持ちあがったらまっすぐ前へ引き抜きます。

これでボタンが外れます。左ボタンでもまったく同じことをやってください。

なんでかというと黄丸の前を向いた凸部がボタン裏側の凹部と噛み合っているからですね。ナンデ?

組み立てる時はボタンモジュールを前から滑らせ、この凹凸を引っ掛けてから嵌め込んでください。

左右ボタンを外したら次は中央のボタンとカバー。

ここはさっき抜いたネジ以外の固定はないので、上に引き上げるだけです。

もしかしたら左右ボタンいじくってる間に外れてるかもしれません。ノープロブレム。

赤丸1本のネジを抜き、ライトバーを外します。

爪楊枝めいて尖っているほうが上です。

この固定ネジも組み立て時に忘れやすいポイントです(1敗)。

マウス左側面に移動し、サイドボタン基盤を外します。

赤丸2本のネジとリボンケーブルを外すだけです(最初に外したリボンケーブルと外し方まったく同じなので省略)。

黄丸3か所でシリコンシートが本体から出たツメに引っかかって固定されています。

外し忘れてもシートが裂けるようなことはないですが、組み立て時にはちゃんと引っ掛けておきましょう。

こう。

シリコンシートは基盤にひっついてきます。

これはなぜかというとシート側の左上赤丸部分にポケットのような構造があり、基盤に引っかかっているからですね。

軽くずらしてやれば外れます。

裏側から赤丸2本のネジを抜き、+-ボタンモジュールを外します。

これも上に引っ張るだけですね。



マウスホイール周辺                 

しばらくのほほんとしていましたが、ここでまた難易度が上がります。

でもラストスパートなのでちょっと気合い入れ直しましょう。

マウスホイールモジュールを固定しているのは赤丸のピン1本です。

右側からドライバーなど細くて丈夫なものでぐっと押し出しましょう。

このとおり抜けます。

かなりタイトにハマっているのでペンチで引き抜くなどしてもいいですね。

なお左端が曲がっている方が下です。ちょうど「h」の字ですね。

注意な ◆バネが飛び出す恐れ◆ 注意な

ピンを抜いたら透明なプラスチックでできているホイールモジュールを取り出します。

黄丸のあたりを支点として、後端を赤矢印に沿って回転させるように持ち上げます。

こう。

無理やりやると支点となっているピンが割れてオシマイなのでゆっくりいきましょう。

ゆっくりやればバネも飛び出しません。

赤丸部分がバネ、黄色が支点ピンです。

ホイールチルトの左右動を補助するバネですね。たぶん。

そんなに強いバネじゃないのでゆっくりやればこの通り本体側に残ってくれるはずです。

残しておくとろくなことがない。

ピンセットでつまみ出しておきます。



本体分解に戻る                   

赤丸2本のネジを抜き、左右に残る部品を外します。

こう。

これはさっき左右ボタンの裏側凹部に引っかかっていた部品ですね。

なおちっこいバネが入っています。ナンデ?

よほど手荒に扱わなければ外れませんが留意しておきましょう。

赤丸2本のネジを抜き、ホイールモジュール支持タワーを外します。

余談ですが、マウス内部に使われている中で太さが違うネジが3本だけあり、そのうちの2本がここのネジです。

一番最初に外した裏蓋と本体を接続している5本のネジと同じものですね。 

あとのすべては長さや頭の大きさこそ違えど太さは同じです。

ただ頭のサイズが小さいネジを使うと固定できないパーツというのは結構あるのでごっちゃにしてしまうのはよくない。

これも上に引き抜くだけ。

赤丸5本のネジを抜き、本体から基盤を分離します。

基盤は先端を1センチほど持ち上げ、前方へ引き抜きます。

基盤後方、赤丸のスポンジが挟まって抵抗になることがあります。ゆっくりやりましょう。

このとおり基盤が外れます。



マウスホイールモジュール分解            

これをバラします……が、正直やんなくてもいいです。

なぜなら組み立てが結構難しいので。

腕に覚えのない人はこのあとの組み立てメモまで読み飛ばしましょう。エアダスターにアルコール麺棒爪楊枝でもあれば十分汚れは落とせます。

ワクワクしているそこのあなたは一緒に頑張りましょう。カチカチボタンの仕組み見たいでしょ?

底面の赤丸ネジ1本を抜き、ボトムケーシングを分離します。

このネジが細いやつで、3本だけ存在する太さの違うネジの最後の一本です。

注意な ◆バネが飛び出す恐れ◆ 注意な

外れました。

ここからは常にバネが飛ぶ可能性が出てきます。気合い入れましょう。

バネが赤丸部分で金属バーに引っかかっています。

この反対側にもバネがあるので頭の片隅に置いておきましょう。 

これも滅多なことをしなければうっかり脱落することはないですが、覚えておくに越したことはありません。

金属バーの先端はホイールの内側へと入り込んでいます。

金属バーを少し引き抜き、ホイールから取り出して後方へともたせかけます。

その状態でバネを金属バーから外してやります。

外れました。

バネのもう一端は黒いプラパーツ側の窪みに引っかかっているので、そっちも外してやります。

そうしたらバネのテンションがゼロになるため安全です。金属バーを引き抜きましょう。

黒いプラパーツはモジュール全体を裏返すか、最低でも横に向けた状態で外します。

なぜかというとここの赤丸のチューブ内部にちっこいパーツが2つも入ってるからですね。

ボールペンまんまです。これがホイールのフリー・クリック回転を切り替えていたわけですね。

入っている順番は画像のまんまです。授業中にボールペンを分解して遊んでた人なら余裕でしょう。

透明ハウジングからホイールを取り出すのは力技です。

マイナスドライバー2本とかをうまいことテコにして、ハウジングを左右同時に押し広げましょう。

結構力を入れないといけません。

はい。

これにてめでたく完全分解完了です。

ケースから6つのサイドボタンを取り外すところと、裏蓋からメインボードを外すところは撮り忘れましたが、まあどっちも普通に見えてるネジ5本抜くだけなので難しいところはないでしょう。



潤滑                        

 注意な ◆故障・保証対象外の可能性◆ 注意な

別にやらなくてもいいですが、成功してスルスル動くと気持ちいい!というやつです。

逆にうっかりスイッチの接点にグリスが流れると泣きを見ます。 組み立てた後に動かなくてまたバラす覚悟でやりましょう。

グリスはわたしはデイトナのシリコングリスを使っています。 なんでって安かったので……

プラスチックを侵さないシリコン系のグリスならなんでもいいでしょう。鉱物系はゆっくりプラを腐食するのでやめましょう。

キーボードやってる人は余ってるGPL205とかでもいいと思います。

ホイール回転軸は金属軸とプラ軸受が直接接触するところです。塗ります。

ホイールハウジング支点部も。ホイールチルトが滑らかになります。

ハウジングの支点受け部分にも詰めておきましょう。

固定ピンと接触するところにも。

バネが油切れすると本当に耳障りなピーンとかシャーンという音がします。

これはキースイッチだけじゃなくホイール前方に入ってるバネもそうですね。

キーボードだとここは粘度の低いシリコンオイル漬けにする(たぶん反発力を削がないため)んですが、今回はこれもグリスにどぶ漬けしてみました。

ただこのバネホイールクリック用スイッチの真横に位置するため、グリスつけすぎるとスイッチの接点を塞いでクリックが効かなくなります。なりました。

慌てず騒がずアルコールで拭き取りましょう。



組み立て                      

清掃なりスイッチ交換なりを済ましたら当然組み立てる必要があります。

特に難しいことはなく、ここから上へ遡って手順を逆にこなしていくだけですね。

丁寧に記録を取ってあればあるほど楽になります。

が、いくらかコツがいるポイントもあるのでそこを書いていきましょう。

まずホイールモジュール前方に位置する2本のバネですが、これは透明ハウジングの下に入っている必要があります。普通にやると組み付けが難しいですね。

こういう時はバネにぎりぎり当たるくらいまでモジュールを押しつけて、

マイナスドライバーとかでバネを透明ハウジングの下へ押し込んでやります。

なおこの写真はバネにグリスつけすぎな例です。

透明ハウジングを上から見ると、うっすらと円形の凹みがあるのが見えるんですが、その中にバネの円がぴったり収まるのが正解です。


また、いざ組み立てて使ってみると左右クリックがギシギシすることがあります。

これはマウスボタン側面が中央のカバーと擦れていることで発生します。

対処法としてはマウスボタンを外向きにずらして組み付けることですね。

この段階でマウスボタン固定ネジを締める際、

こういうふうにボタンを外側へ引っ張りながら締めることで、ボタンと中央カバーのクリアランスが確保され、押した際に擦れなくなります。

ただ一番コツがいるのはやっぱり本体のケースへの組み付けでしょうね。

本体をマウスボタン穴からケースへ滑り込ませ、

マウスボタン後端とケースが触れたら、

そのままマウス前端をつまんではめ込みます。


 動画にするとこう。



最後に                       

ということでG604の分解でした。

高精度のボタンが適切な位置に配置された名機であり、わたしなんかはほぼ全追加ボタンをブラウジング(戻る、進む、右のタブへ移動、左のタブへ移動、タブを閉じる、直前に閉じたタブを再度開く、F5)で使い切るためほとんど手足の一部と化しているんですが、いつの間にかディスコンになっちゃいましたね。

公式の修理サポートもいつ打ち切られるかわからないし誰かが分解したくなるでしょう。

検索してもいつどのネジを外すという粒度の分解レポートが出てこなかったため、自分で試行錯誤しながら完全分解しましたが、どうせなら共有してしまえという感じで記事にしました。

先代であるG602の販売終了が17年中旬?でG604の販売開始が19年末らしいので、次が出るのはまた2年後でしょうか。出るといいなぁ。

ニッチ商品をすぐ発売しても元が取れないので、市場に出した製品が寿命を迎え始めるまで待ってから売り出した方が売れるという戦略なんでしょうか。

G Hubの操作性についてはあえて語らないことにします。キーコン割り当てにドラッグ&ドロップ操作を採用していいのはニンテンドーDSのゲームだけなんよ。


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