#今年のもぺ

まえがき


GirAFFE Beerと申します。ジラフビールと読みます。
今年も末代アドカレ書いていきましょう。

今年はもぺ(と呼んでいる自作原付)を作る以上のことをした覚えがあんまりなく、ネタに悩みましたが、日々の細かな整備記録とか走行記録とかを軽くまとめてみようと思います。
基本的には#今日のもぺに投稿している内容のまとめかつ補足になります。
月刊GHFのほうで毎月まとめてる内容とも被りますね。でも今年の頭に何やってたかなんてわたしも覚えてないし……

あと計算機の話が読みたいよって人はRTX 3090をBykski製中華キットで水冷するなどもどうぞ。
グラボ用中華水冷キットで博打やる話です。 
5ヵ月経ちましたが現在まで一度もトラブルなく動いています。


1月



1月1日、見事な正月晴れ。
元旦早々さっそく宮ヶ瀬ダムへツーリングです。
このエンジンで宮ヶ瀬までの坂を登るのは超キツかった覚えがあるけど走りたかったんでしょうね。


おそろしいことにライラックが2台もおりました。
これは1960年ごろに丸正自動車が生産した国産のVツインバイクですね。バリエーションが多々あるようでちょっと詳しい型式は……存じ上げない……
白ナンバーだったのでLS-38系列じゃないかとは思います。「ライラック友の会」所属だそうですね。

この奥に映っている白いハーレー(サイドバルブ、これもめちゃくちゃ古くて歴史的価値のある車両です)のオーナーさんから、3日にここで大規模なミーティングがあると教えてもらいました。


万全のコンディションで挑むために点検をします。3が日も終わらないうちからこれです。
リアスプロケットの固定ボルトには自転車ディスクブレーキ用の専用ボルトを使ってたんですが、当然スプロケはディスクより厚いわけで、長さが足りず軽くネジ穴をナメていました。
なのでより長いボルトに交換。

年末(22年12月19日)に作ったばかりのガーターフォークは特に破損もなく大丈夫そうでした。
そして迎えた1月3日。いざ宮ヶ瀬。


ヴィンセント・ブラックシャドウ(英、1948~55)がおりました。
死ぬ前に見れるとは思っていなかったので感無量です。

主催者のいるイベントではなく自然発生した集まりらしいんですが、二輪だけでも100台を超える車両が集結しており、すさまじいの一言でした。

それも歴史的な車両が多く、単気筒のモトグッツィ・ファルコーネ(伊・1950~67)、
リトラの3型カタナ(日・1983~85)、


BSA(英・1950年代)、


モトパリラ(伊・1950年代)、


モトベカンD45A(仏、1945~48)


カワサキ吸収前のメグロ等、ちょっとした博物館の様相を呈しておりました。


四輪もすごい。しれっとストラトスが停まっています。


1月13日、いきなりエンジンを下ろして完全分解しています。


なんでだっけ?理由が記憶にない。
過去投稿を遡ってみてもよくわかりません。突発的にオーバーホールしたくなっただけか。
この際にシリンダーを交換しているようです。しばらく出力不足に苦しみ、最終的に圧縮の不足と判断し、シリンダートップを削り足して解決したと。


2月


2月はかなり平穏に過ぎました。
雪が降ったり、


クジャクを見に行ったり、


前輪ハブにつながっているスピードメーターのケーブルがもげたり、


ついでなので前輪のベアリングを交換したり、


オイル交換したら300ml入れてたはずが50mlしか入ってなかったり(つまり250ml漏れた)


キタコ製のウインカースイッチがショートして電装系全体を止めてくれたり、


静岡からやってきたFediverse異常ツーリング部の人々とデートしたりしました。


でかい故障は27日にエンジン - 変速機チェーンがちぎれたことくらいですかね。


チェーンに適合する415サイズのスプロケット(歯車)は高いので、安い420スプロケを削って無理やり適合させてるんですが、どうもその削り量が足りなかったようで。
厚い歯車に薄いチェーンを無理やりねじ込む形になり、チェーンが摩耗していました。
チェーンを交換して歯車を削って解決です。


3月


キャブレター(赤丸)が斜めについているのがどうにも気になってきました。


キャブレターの中にはガソリンを溜めておくカップ(フロートボウル)があり、そこに浮いている浮き(フロート)や浸かっているチューブ(ジェット)が燃料流量を制御しています。
当然それらも斜めになったガソリン液面に浸かっているわけで、これが性能低下を招いているのではないかと。

まっすぐに取り付ければエンジン出力が上がるのではないかと。
そんな期待が発生しました。

気になってしまったらしょうがない。
溶接機を出して、キャブがまっすぐになるよう吸気パイプを新造です。


しかし出力は上がるどころかむしろ低下。
どんなにジェットを変えてみてもダメ。
管が細くなったことが原因ではないかと思い、太いもので作り直しましたがこれも駄目。
なんかこれが不運の始まりだった気がしますね。


結局リードバルブケーシング(でっかい銀色の三角形部分)とシリンダーの接続面が密閉されておらず、そこから空気を吸って燃料と空気の比率が崩れていたことが原因でした。

その後、ビモータDB2でレースやってる人と話す機会があり、リードバルブでかくない?というアドバイスを受けまして。


死蔵してた小型リードバルブを付けてみたところ大正解でした。
が、これバルブシートが透明な樹脂素材でして。
耐熱のものかと思ってたんですが普通にエンジンの熱で溶けました。


修理しようとしたら汎用シートがキタコのカーボンしか売ってなかった。
ハガキ大で3千円します。
説明書がなんとも味があっていいですね。


無事修理。


なおリードバルブが溶ける直前にはそば処あさひで開催された大和オートバイミーティングに参加しておりました。
1/3の宮ヶ瀬もすごかったですがこちらはそれを超える規模でしたね。


詳細不明なくらい古い原動機付自転車(おそらく日・サンライトSMR?1945~50年代)


サンビーム(英、1925 Light Solo?)


同族を見たのは初めて!片方はスーパーカー自転車、もう片方はロッドブレーキの実用車ベースです。


これはジャイロキャノピー(2000年式?)を接ぎ足されたズーク(2000)。
ちゃんとロゴもOが一個増えてますね。


3月22日、シリンダーが突然大破。ピストンともに全損です。


ピストンピンサークリップという、ピストンの横に入っている曲げた針金のような部品が折れ、シリンダーとの間に挟まったことが原因のようです。
取り付け時にねじる力が加わるバネのような部品なんですが、長期間(数年単位?)交換した覚えがなかったのでたぶん振動による折損でしょう。
たしか3キロくらい押して帰ったかな。


こんなこともあろうかとストックしておいた新品のシリンダーとピストン一式を出してきて3日後に公道復帰です。


ただこの際、新品シリンダーを当然ポート加工して使ったんですが、失敗しました。
排気ポートを上方向へ拡大しすぎたらしく、無負荷時の回転数は上がるがトルクがちっともないという悲惨な状態になってしまいました。
排気がピストンへ力を伝えきる前に抜けていってしまうんですね。
2速で6000回転くらいしか回らなかったのが8000まで回るようになったけど、そこから3速に上げたら加速するどころかどんどん速度が落ちていく感じ。
当然こんな状態では走れたもんじゃないです。


でも城山ダムに行ったりしています。
桜が咲いていたので花見がしたかったんでしょうね。


4月10日、今度は変速機を分解。
もぺの3速変速機は自作なんですが、これがやたらめったらオイル漏れする。
ケースの接合面がダメなのではと疑いましたが、実はそこは完璧でした。
紙ガスケットを当てた上に液体ガスケットまで塗ってるので。


犯人は溶接跡で、あちこちに小さな穴が開いてそこからオイルが漏れていました。
メタルロックという二液混合タイプの接着剤があり、これが強力であるということなので穴という穴に塗りつけて塞いでいきます。
ただ後で知ったんですがこれ耐熱温度が110℃しかない。
それに振動に晒すと結構ポロポロ剥がれて割れてきます。
JBウェルドのほうがよかったな……


ただなにぶん自作なもので、バラして組み直すと動かなくなります。
位置決めピンを入れるような工作精度がなかったり、分解して再密閉する過程で紙ガスケットの厚みが変わったりすることが原因ですね。
動くまで数日間苦しみながら調整します。


4月19日、今度はキャブレターが割れます。
これはPW50というヤマハのキッズダートバイクのキャブレター(の中華コピー)で、非常によくエンジンを回してくれるんですが、このクランプ部分がアキレス腱です。
キャブ本体のアルミ構造材に切れ込みが入っていて、それをネジで無理やり曲げて締め付けることで吸気パイプへ固定するタイプです。
なのでキャブ本体の重量とエンジンの振動がモロにそこにかかる。このとおり割れます。
ちなみにキャブが割れるとエンジンが混合気を取り込めなくなるため当然不動です。押して帰ります。


もう割れるような構造のキャブはこりごりということで、PZ19なるネジ止め式のものに交換します。
これはカブとかに使われるケイヒンPB16のコピー品らしい。当然吸気管も合わせて新造。
4ストエンジン用ですがそれなりにアイドリングが安定します。
ただどうにもトルクが出ず、回転も上がらないという印象でした。
走らないわけではないけど楽しくない感じ。


とかやってたら今度はプラグホールナメました(4/29)。
燃調が濃いか薄いか(つまりエンジンに入ってくる燃料が多すぎるか少なすぎるか)をみるためにはスパークプラグを外して碍子の色を見てみるのが一番いいんですが、うっかりするとこうしてネジ穴を潰してしまいます。
これはわりとあるあるでして、専用の補修キットが売られています。
ネジ穴を一回り大きくして、ぴったりのネジが切られた専用の金具を入れて解決です。


5月


月が変わってもトラブルシューティングは続きます。
5月3日、またリードバルブが溶けているのを発見。


4月に溶かしたばかりだろって?そのとおりです。
専用設計のはずのカーボンリップまでが溶けるのはおかしいってことで調べてみると、シリンダーの吸気路上側内壁がリードバルブに近づきすぎており、開いたリップが接触していたようです。
吸気路上側は燃焼室に近いので温度も上がっており、溶けたんでしょうね。
この際に吸気路内壁をいくらか削ったため、バルブが溶けたのはこれで最後でした。


5月5日、死蔵していたレッツ2のシリンダーヘッドに目がいきます。
取付ボルトの間隔が合わなくて使えないんですが、ちょっと削れば着くんじゃないかと。
スキッシュエリアが大きくていい感じのヘッド形状してますね。


ネジ穴を拡大……というかずらして強引に取り付けます。
こういう無茶苦茶ができるのが2ストのいいとこ。
これは成功でした。明らかに圧縮比が上がり、いくらかトルクが出るようになりました。
ただまだ不満。別の要因がありますね。


この後、PW50キャブを買ってきてまた懲りずに取り付けたり、


吸気管の溶接をやり直して二次エア吸入をなくしてみたりしたけど変わらず。


たっぷり1ヵ月悩んで5月27日、中古で購入したヤマハ製ピストンに交換したところやっと気持ちよく回りました。
この2JA用ピストンは49cc Motorized Bikeのものと規格(直径、ピストントップ~ガジオンピン距離がまったく一緒)なのでポン付けできます。
これで治ったってことはピストンリングが損傷していて圧縮漏れが起きてたってことですね。
2月か3月に交換したばっかりなはずなので原因から除外していた。


が、翌日にこのピストンリングが割れました。
これの原因がよくわからない。取り付け時に曲げすぎたかシリンダーのポート断面が荒れててリングを攻撃したか。


そして5月30日、Amazonで買った2JAピストンと手持ちの無傷のシリンダーを組んで走らせ、3分でご臨終となります。
原因はクランクケース内に落ちてた先日割れたピストンリングの破片でした。
割れたリングを並べて全部破片を取り除いた気になってたんですが、そんなことはなかったようで。


仕方ないのでエンジン降ろして完全分解してクランクケース内を清掃します。
そして5月31日、手持ちの最後のシリンダーを出してきて、純正のピストンで組んで走らせます。


6月


6月3日。今度はピストンが割れました。


2JAピストンを使い始める前に使っていた純正ピストンな上に、クリアランスもきちんとみたため、ヘッドに当たったということはないはずなので、ちょっと原因がわかりません。
あるとすればピストンに既にクラックが入っており寿命ぎりぎりだったとかでしょうか。
粉砕したピストンはシリンダー内壁をざっくり削り、ヘッドにも突き刺さったため腰上一式がご臨終です。

そしてさすがに破壊しすぎたため、手持ちのシリンダーの在庫が尽きました。
AliExpressで買います。最近は配送が速くなっていいですね。


半月の塩漬けを経て6月16日、やっとこさ公道復帰です。
シリンダーは当然ポート加工しますが、今回は排気ポートを横へ28mmまで広げる程度に留めました。
上下には拡大せず。結果よくトルクが出て、楽しく走れる具合に仕上がりました。
工場設計バカにしちゃダメですね。

ここからもぺは小康状態を迎えます。
楽しく走れるので、ケンタッキーに開店凸したり、


水族館に行ったりしていました。



7月


月が変わってももぺのエンジンは健康です。
ほぼ工場出荷時の構成で走ってるんだからそうそう壊れない。


7月2日には走行距離がのべ1万キロを突破。
メーターは何度か変えてるんですが、そのたびにバラして走行距離を受け継いでるのでだいたい正確な値のはずです。
走行距離改ざん車ともいう。


トラブルといえば、発電機とバッテリの間に噛ませている12Vコンバーターが焼け死んだり、


高回転を維持するとエンストする謎の現象に悩まされたり(結局燃料タンクキャップの空気抜き穴が詰まっており、燃料を急激に流し出すとタンク内が負圧になって出が悪くなることが原因でした)、


出先でクラッチケーブルが切れててんやわんやしたりした程度でした。
安定したということは、新たなトラブルを作る余地ができたということです。


ということで7月17日、Amazonでエンジンを購入。
1万円ちょっとで買えるので手軽でいいですね。
ただこれは66ccエンジンなのでこのままだとわたしは使えません。原付二種以上の免許は高いのだ。


ということで2JAエンジンのシリンダー一式を購入。
実はMotorized Bikeの66ccエンジンと2JAのシリンダーは固定ボルトの間隔が一緒(45mm)なんですね。
なのでほぼポン付けみたいなことができます。
シリンダーボルトの直径だけ前者がM8・後者M6と違うので、ヘリサートで小さくするとかシリンダー側の穴径を拡大するとか対処が必要ですが。


ポン付けとはいってもハマるだけなので、シリンダーの高さが違います。
そのためこのまま取り付けるとピストンがヘッドに衝突します。
なにかしらスペーサーを作って高さを合わせてやらねばなりません。

なんでそんなめんどくさいことをするのかというと、材質とポート形状です。


並べてみると一目瞭然。
2JAシリンダー(右)はMotorized Bikeのもの(左)に比べて、シリンダー内壁に対するポートの総面積が明らかに大きいです。

2ストロークエンジンというのはいかに燃焼気を素早くシリンダー内から取り除き、新しい混合気で満たせるかに効率がかかっています。
ただ一つのポートをあまり大きくしすぎるとピストンリングがそこへ脱落してしまう。
なのでリブを設けて分割する必要があり、結果ポート個数が多くなっています。

混合気の噴出角度による排気の追い出しとかポート形状の最適化とかいろいろあるんですが、それだけで学問が一分野成立するやつで、あまりに複雑すぎるのでちょっと詳しくは……
重要なのは2スト黄金期にヤマハが設計したシリンダーであることです。

そしてMotorized Bikeのアルミ製シリンダーに比べてこいつは鋳鉄。
強度が段違いなので、砂やカーボンを噛んでシリンダー内壁にちょっとガリ傷が入っても、軽くホーニングすれば復活できるはずです。


特に2JAにこだわりがあるわけではなく、たまたま使いやすいものが手軽な価格で売っていたというだけです。
3KJとかAF18とか規格は近いんですが、シリンダー側にリードバルブがついていない(ケース吸気)のが痛い。
ツェンダップのレース用シリンダーキット?いやまあ……売ってるけど……

なおMotorized Bikeの腰下(クランクケース以下の部分)に他エンジンの腰上一式を組むのはオリジナルというわけではなく、Minarelli Buildという確立された手法です。
なんでミナレッリなのかはよくわからない。たぶん2JAと腰上が同じヤマハBW'S(3AAエンジン)の79ccボアアップキットをミナレッリが出していて、それを使ったからだと思うんですが……
わたしのオリジナル点といえば2JA純正シリンダーが使えそうなことに気付いたことくらいです。


8月


部品は揃ったので加工して組み立てていきます。
製作の様子は動画を見てもらうのが一番早いと思います。


Motorized Bikeのクランクシャフトにはストロークが38mmのものと40mmのものがあり、しかも特にマーキングとかショップによる表記とかもなし。
コンロッドにはなにかしらのマーキングがあるんですが、ストローク長に影響するのはクランクの部分であり、40mm表記のコンロッドと38mm用のクランクを組み合わせて組んであるため結局ストロークが38mmなんて例もいくつかありました。

そしてシリンダーはまず確実に40mmストローク用に作られているため、2mmぶんストロークが足りず圧縮比が落ちている。
野良部品販売はなんかそのへんめちゃくちゃなんですね……
たぶん商品画像のクランクをよ~く見て、クランク軸とコネクトピンとの間隔が広そうなものを探すしかなさそうです。

とりあえずこれは確実に40mmストロークだったので貼っておきます。
あとYD100のクランクもストローク長40mmなんですが、発電マグネットが外側へ飛び出しすぎて結局使うのを断念しました。
そんなとこにオリジナリティ出さなくていいから……

2ストロークエンジンはクランクケースを密閉し、ピストンの上下に伴って生じるそこの陰圧・陽圧でキャブレターからの混合気吸引・シリンダー内への混合気圧送を行います。
つまりクランクケースの容積は小さいほどよい。


なのでJBウェルドでアルミ板を貼って容積を減らします。
これでだいたい50ccくらい減るはず。


ポート(混合気の流路)側面もJBウェルドで肉盛りしておきます。
ここはシリンダー側のポート形状と合わせる(これをポートマッチングという)必要があり、肉厚が不安だったもので。


もぺに大きなトラブルはなし。
吸気管が溶接不良で折れて自走不能くらいですね。


うおへい商店さんにお邪魔したり。


9月


エンジン完成させて~


排気管作って~


ついでにセンタースタンドも作ってしまいます。
以前のものに強度的不安があったのと、スタンドを一回作ってみたかったため。
スタンドは展開・格納両方の状態で固定されていなければならず、これはバネが支点を超えることによって実現されます。
この機構作ったことなかったんですよね。


これ単体でバランスが取れる必要はないんですがなんか自立してウケました。

とかやってたら9月27日。動画は29日のものです。


ほぼ一発であっさり始動しました。
やっぱりエンジンが回ると健康にいいですね。
29日に試走中、調子乗って抱きつかせたりしましたがちょっと冷やしたらまた回りました。
燃調薄い状態で下り坂でぶん回したのが良くなかった。

ちなみに燃調の薄さ(吸気に対して燃料が少なすぎ、燃焼温度が上がる)や長時間の連続運転によってシリンダーの温度が上がりすぎ、ピストンリングが膨張してシリンダー内壁に軽く食い込んでしまうことを抱きつきと呼びます。2ストの方言ですね。
よりひどくなると焼きつきといい、リングやピストン本体がシリンダー内壁と一体化して動かなくなってしまいます。


10月


いじるとトラブルを誘発しがちなのが発電機周り。


2GTという規格の歯付きベルトでクランク軸から発電機へ動力を伝達しているんですが、そのプーリを回転軸に固定しているセットスクリューが脱落し、ベルトケーシング内で跳ね回って最終的にはベルトを切断していました。
ロックタイト塗り忘れだったかな……

10月5日には新エンジン初の宮ヶ瀬チャレンジ。
チャレンジといってもレギュレーションは特になく、単に宮ヶ瀬ダムまでの山道を登りきって鳥居原園地駐車場(もしくは水とエネルギー館)へ到達できるか試すだけのものです。
急坂が長距離続くため、エンジンはもちろん車体の耐久性テストにもなります。


途中で一回不動。
すわ焼きつきかと焦りましたが、振動でクランク軸末端のプーリ接続ボルトが緩み、ケース内部と接触して回転抵抗となったのが原因だったようです。
締め直したあとは何事もなく走行できました。

新エンジンのキャブですが、またPW50を使っていました。
4月にこりごりだよ~と言ったはずなんですが喉元を過ぎたようです。


クランプ部分だけでキャブを固定しようとしてギチギチに締めるから割れるのであって、クランプ部は軽く締めるだけに留め、バーでキャブを後方から押さえるようにすればいいのでは?というのが今回のコンセプトでした。

これをクランプ径の同じPW80キャブに取り換えてみました。


主な違いはキャブのベンチュリ(空気流路)径です。
PW50のものが直径12mmなのに対して、PW80は16mmです。
両方とも正円形状なので、断面積でいうと1.8倍ほどになるわけですね。

口径は大きければ大きいほどたくさん空気を吸えてお得なようにも思えますが、やはりそう単純にはいかないわけで。
口径を上げるとエンジンの発生する負圧が分散し、キャブレターを通過する空気の流速(つまりフロートボウルから燃料を引き上げるベンチュリ圧)が弱まり、結果始動しなくなったりまともに走らなくなったりと悪影響だけが出ることもあります。
というか前エンジンでPW80キャブを試してそれを踏んで苦しんでました。

ただ前述したように今エンジンではクランクケース容積を削減して吸気圧力を上げています。
今度こそはと試してみたところ、これが大正解でした。
今までの調子で乗ってると事故ると確信できるほどにトルクが出て加速します。

メーカーがエンジンの出力を下げる(馬力自主規制)ために小口径のキャブレターをつけて出荷してるなんて話もあり、これはいわゆるビッグキャブ化というやつに該当しますね。


しかしこれも2日でぽっきり。
耐久性がなかったというよりは負荷をかけすぎた感があります。
出力が上がったのが楽しくて2日で160キロ走ってました。
抑えバーのおかげでキャブが完全には脱落せず、いちおう吸気ができて自走して帰れたのは大きな進歩ですね。

吸気管に緩衝材もなにもなく直接キャブをマウントするのは流石にもう無理があるだろうということで、なんか考えます。


で、買ったのがこれ。
ケイヒンPWK28……の中華コピー。名前の通り口径28mm。断面積でいうとPW50の実に5.4倍です。

べつに大口径にしたかったわけではなく、ゴム製のブーツを介して取り付けられるキャブで、一番安くて2ストでも使えそうなものを探すとこれしかありませんでした。
お値段3100円。安い!


ゴムブーツはネジ止めできるタイプ。さくっと吸気管を作って取り付けます。
だいぶダメ元でやったんですが、意外にも一発始動。
ちっとも調整していない箱出しポン付け状態であっさりパワーが出たうえ、アイドリングまでしてしまいました。
元々のキャブの設計が強烈にいいんでしょうね。


ということで10月12日、もぺMOD8納車です。
自分で作って自分に納品したのでちゃんと納車です。


なお当日中に発電機(として使っているDCモータ)内部のカーボンブラシがもげてウインカーつかなくなったりしましたがこれくらいのことでめげてはいけない。
これまではモータまるごと買い直していましたが、規格の合うカーボンブラシを見つけたので勝利です。
うまいこと取り換えることで部品代が安く済みます。

この後は、革を買ってテールバッグを作ったり、
 
 
宮ヶ瀬からちょっと進むと着く相模湖に行ったり、


うおへい商店さんにお邪魔して𝕏に写真を上げてもらったり、


同日に江の島で猫と戯れたり、


同日にめうるみと戯れようとしたらチェーンが切れたりしました。


なお予備のジョイントリンクとコマを持っていたので即時修理。
後輪のスプロケットを44歯のものから40歯のものに変えてギヤ比を上げた(トルクは十分に出ているので、速度に振って1速を扱いやすくした)んですが、その際にチェーンラインがずれてしまったようです。

もぺにはクラッチレバーが2本あり、変速時に使うシフトレバー上のものと、ブレーキ・速度調整時に使うハンドルバー上のものです。
後者は自転車用ロックアウトレバーを応用しており、引いた状態でロックできることが特徴です。
右手をハンドルバーからシフトレバーへ持ち替えている間に動力を切断するためのものですね。

が、これの引き代が足りないことが不満になってきました。
クラッチケーブルは構造上エンジンの近くを通っており、金属製であるため熱で伸びます。
長時間走行するとどんどんケーブルが伸びてきて、ロックアウトレバーを引いてもクラッチが完全に切れなくなってくるんですね。


ということで安い中華レバーを買ってうまいことやります。
 
 
やりました。
特に設計図とかは引かず現物合わせでやったんですが、やっぱり楽しいですね。


11月


自転車のタイヤは前輪より後輪のほうが早く減ります。
これは駆動輪として動力を地面に伝えているからで、もぺも変わりません。
 
 
ということで前後輪のタイヤを外して交換します。いわゆるローテーションというやつですね。
ほとんど減っていない前輪タイヤを後輪に、それなりに減った後輪タイヤを前輪に付け替えることで前後タイヤを無駄なく使い切ることができます。
当然前輪のグリップ性能は落ちるわけですが、減ってないということはそんなにガッチリグリップする必要もないということで。
雨の日はそもそも乗らないし。
 
11月4日、相模原のあたりの坂を登り切ったあたりでまた抱きつき。
渋滞に巻き込まれてだらだらと坂を登ったのが良くなかった。
ちょっと冷やしたら回るようになったので自走して帰れたんですが、心臓に悪いったらないですね。
 

これは同日に食べたマックで出たレアポテト。

11月7日、宮ヶ瀬でも行くか~と山登ってたら突然動力を喪失しました。
エンジンは回ってるけど後輪が回らない状況。
クラッチの異常を疑い、停めてクラッチカバー開けてみたらウッドラフキーが出てきました。
クランクシャフトとドライブギヤの間に挟まっている回り止めで、普通は抜けるはずのない部品なんですが……
 
とりあえず15キロほど漕いで帰ります。ほとんどが下り坂なので楽でした。
翌日バラしてみたらこれ。


ドライブギヤ自体にクラックが入っていました。
Motorized Bikeエンジンを数年使ってて初めての破損です。
組立時にギヤの挿入がかなりきつく、ネジで押し込むようにした覚えがあるので、たぶんクランクシャフトのテーパーとギヤ内径が合ってなかったんでしょうね。
クラックも無理に押し込んだ結果かと思われます。
クランクシャフト側をいくらか削るとギヤがすんなり入りました。

11月18日、走行中に異音。
擦れる感じの聞いたことない音だったので停めてみるとこれでした。


シフトレバーのリンクを構成していたネジが緩んで脱落し、レバーが前方へ回転、路面に接触。
その衝撃でシフトレバー側クラッチレバーがもぎ取れた感じです。
 
落ちたネジはどっかいったので携行している予備ネジで代用。
クラッチレバーはもう1本(ハンドル側)残ってるので普通に走って帰れました。
エンジンとペダルみたいに系が2つあると予備が効いていいですね。

11月19日、宮ヶ瀬への道中でまた抱きつき。
やはり遅い車に頭を押さえられて、坂道を低速高回転で登らされるのがよくないですね。

2JAはそもそもスクーターのエンジンであり、エンジンで駆動されるシュラウドつきのシロッコファンで常時風を当てて冷却する前提の設計です。
なので走行風だけで冷やす現在の使用方法がそもそもよくない。
フィンがちっちゃいのが問題なので、板材を溶接して拡大してやろうかと考えています。
でも熱でシリンダー歪みそうだなぁ……
 

あとがき


執筆時現在(11/25)で書けるのはこのへんまでです。
致命的故障や不動は何回かありましたが、いまのところ事故だけは起こしてないのでそこはよかったなと。
今年もまだ1ヵ月残ってますが気を抜かずにいきたいです。

あともぺが安定したら2台目を作りたくなってしまったためいろいろと買いました。


Aermacchi Ala d'Oroという60年代のレーサーの75%レプリカっぽいものにする予定です。
これの名前なんにしようかな……


毎月1記事くらいは書きたいなと思いつつ今年は(これ含め)トータル5記事の公開となりました。
つまり今年は1ヵ月が73日だったというわけですね。
giraffe.beerというドメインを取ってはや1年、ドメイン代の50ドルが6千円くらいから7500円になってしまいました。
 
Googleも雲行き怪しい感じなのでBloggerもいつなくなってもおかしくなさそうです。
早いとこGitHub Pagesとかに移行すべきなんですが……HTMLが書けない……
教習コースなんてどこにでもタダであるからやれ、はい。

末代アドカレ、明日はotakyulineさんです。











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